お役立ちコラム

column

納豆の白い粒はアミノ酸“チロシン”の結晶。シャリシャリした食感を和らげる食べ方を紹介

納豆のパックを開けたとき、表面に「白い粒」が付着しているのを見たことはありませんか?「カビかもしれない」「腐っているのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、この白い粒の正体はカビではなく「チロシン」と呼ばれるアミノ酸の一種です。「チロシンは、納豆の発酵過程で自然に生成される成分です。

本記事では、納豆の白い粒「チロシン」の正体や健康効果について詳しく解説します。白い粒を見つけても安心して食べられる理由を知って、納豆の魅力を再発見してみてください。

チロシンとは

人間の体を構成するタンパク質の材料となるアミノ酸には、体内で生成できない「必須アミノ酸」と体内で生成される「非必須アミノ酸」がありますがチロシン(Tyrosine)は、体内でも生成される非必須アミノ酸の一種として知られています。
全部で20種類あるアミノ酸の中でもチロシンは、脳の機能やホルモンの生成、代謝の調整など、健康維持に欠かせない重要な役割を担っており、肉類や乳製品、ナッツ、大豆製品といった食品に多く含まれており、日常の食事から比較的摂取しやすい栄養素です。

特に大豆を原料としている納豆は、チロシンを摂取するのに非常に優れた食品と言えるでしょう。毎日の食事に納豆を取り入れることで、手軽にチロシンを補給することができます。

納豆に白い粒ができる理由

納豆の表面に現れる白い粒は、発酵が進む過程で大豆のたんぱく質が分解されることによって生成される「チロシンが結晶化したもの」です。

納豆菌がたんぱく質をアミノ酸に分解する際にチロシンが生成されます。このチロシンは水に溶けにくい性質を持つため、時間が経つと表面に結晶化し、白い粒として現れるのです。

発酵食品である納豆は、みそやチーズと同じように時間の経過とともに熟成し味や香りが深まっていきますが、こうした白い粒がみられることもあります。

チロシンが現れやすい条件

時間が経つほど発酵が進み、チロシンが析出されやすくなります。

熟成が進んだ納豆ほどチロシンが現れやすいですが、これは「カビ」ではなく、納豆がしっかり熟成している証拠でもあります。熟成が進むほど納豆の風味や香りも強くなるため、好みに合わせて食べるタイミングを調整すると良いでしょう。
一方で、チロシンのジャリジャリとした食感が苦手な場合は、早めに食べるのがおすすめです。

食感が気になる方におすすめの食べ合わせ

チロシンは、実はサプリメントとしても利用されているような成分ですが、ジャリジャリとした食感が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。

ここではチロシンの食感を和らげやすいおすすめの調理方法を紹介します。

お好み焼きと納豆を合わせて食べる

納豆を使ったアレンジレシピの中でも、人気が高いのが「納豆お好み焼き」です。
白い粒の食感を抑えることができます。
またそれだけでなく、納豆の粘り気が生地をまとめる役割を果たすため、小麦粉の量を減らすことができ、よりヘルシーな仕上がりになります。

材料(4人前)
納豆:2パック
お好み焼き粉:200g
キャベツ:1/4個
卵:2個
水:200ml
揚げ玉:大さじ2杯
サラダ油:適量
ソース:適量
マヨネーズ:適量
青のり:適量
かつお節:適量
その他お好みの材料(豚肉、チーズ、ネギ、紅しょうがなど):適量(キムチ、お餅、桜えびなども人気があります)

作り方
1.キャベツを千切りにします。繊維に沿って切ると、食感がよくなります。
2.ボウルに小麦粉、卵、水を入れて混ぜ合わせます。
3.キャベツ、納豆、揚げ玉を加えて混ぜます。
4.フライパン、またはホットプレートにサラダ油を熱し、生地を流し入れます。
5.中火で両面を焼き色がつくまで焼きます。
6.裏返して、蓋をして弱火で5分ほど蒸し焼きにします。
7.お皿に盛り、ソース、マヨネーズ、青のり、かつお節をかけて完成です。

チャーハンと納豆を合わせて食べる

お好み焼きと同じように納豆チャーハンもその調理工程から、チロシンの食感を和らげることができます。

材料(2人前)
ご飯:茶碗2杯分(約360g)
納豆:1パック(約40g)
卵:2個
長ねぎ:1/2本
ベーコン:2枚(約50g)
小ねぎ:少々
油:大さじ1
酒:大さじ1
塩:小さじ1/4
こしょう:少々
醤油:小さじ1

作り方
1.長ねぎとベーコンをみじん切りに、小ねぎは小口切りにします。
2.フライパンに油を熱し、納豆、長ねぎ、ベーコンを炒めます。
3.納豆の粘りが減ってきたらご飯を加え、さらに炒めます。
4.酒、塩、こしょうで調味し、醤油を加えて炒めたら完成です。
5.お皿に盛り、小ねぎを散らして完成です。

チロシンに関する注意点

チロシンは納豆に生成される程度の量であれば食べても問題ない成分ですが、過剰摂取には注意が必要です。極端に多く摂取すると、体内の代謝バランスが乱れる可能性があり、甲状腺の機能に影響を及ぼすこともあります。
そのため、サプリメントなどで補う際は、適量を守ることが大切です。

一方で、食事から摂取する分には過剰摂取のリスクは低いため、安心して取り入れることができます。バランスの取れた食事を心がけながら、自然な形でチロシンを摂るようにしましょう。

まとめ

納豆の表面に現れる白い粒は、カビや腐敗の兆候ではなく、「チロシン」というアミノ酸の一種です。発酵が進む過程で自然に生成されるものであり、栄養価や安全性に問題はありません。

しかし、問題がないと言われても「苦手だからなんとかしたい」という方はこれまで紹介した「食材と混ぜて調理をする」といった方法で気になりにくくなります。

納豆を日々の食生活に取り入れることで、栄養価を最大限に活用しながら新しい食べ方を発見できるかもしれません。

苦手だと思われても、ご自身にあった食べ方を考えてみてはいかがでしょうか。